〇肺に空気が流れ込んだり、押し出されたり
肺には自らの力で膨らんだり縮んだりして空気を吸い込んで吐いていると誤解されがちですが、実はそうではありません。
その点、自分の力で拍動することが出来る心臓とは事情が違います。
肺そのものに自ら膨らむ力はないので、胸とお腹の境目にある横隔膜という筋肉と、肋骨の間にある肋間筋の力を借りています。
息を吸うときは、肋間筋が縮んで上に引き上げられ、それと同時に胸とお腹を隔てている横隔膜が下がり、肋骨内の空間が広がります。それで肋骨内の圧力が下がり、膨らんだ肺の中に空気が流れ込みます。
息を吐きだすときは、伸びた肺が自分の弾力性によって元に戻ろうとすることで、肺の中の空気が外へ押し出されます。肺が空気を吐き出して小さくなるのに合わせ、肋骨が下がると横隔膜が上がって胸郭が縮み、肺の中の空気が押し出されます。これが呼吸の仕組みです。
〇吸った空気の3分の1は使われていない
左肺は右肺より小さく、形も異なります。その理由は心臓が左側にやや張り出しているためです。
重さは右肺が約600g、左肺が約500g。
肺の容量は左右合わせて2リットル強で、一回の呼吸で空気を出し入れしている量は500ミリリットル程度です。
ただし、吸った空気の全てをガス交換に使えるわけではありません。
何故なら、吸い込む空気の3分の1は、一つ前の呼吸で完全に吐き出せずに気道に残った使用済みの空気だからです。