飲酒によって筋発達が妨げられる理由はいくつかありますが、代表的なものをいくつかご紹介しておきます。
①インスリンへの影響
筋発達と体内のインスリンレベルは密接に関係しています。インスリンが体内で本来の働きをしていれば、身体に取り込まれた栄養素は効率よく筋中に運搬され、筋発達のために使われます。
アルコールを頻繁に飲むようになると、体内に入ってきたアルコールに対してインスリンの分泌が鈍くなっていきます。そうなるとアルコール以外の食べ物を食べてもインスリンの反応が鈍くなってしまいます。
したがって、例えば筋発達に必要なタンパク質や炭水化物が筋中に取り込まれにくくなり、無駄に排泄されてしまうことになります。
②タンパク質の同化を妨害する。
筋肉は常に、異化(分解)反応と同化(発達)反応を繰り返しています。
異化反応が優位になれば筋肉はサイズダウンしますし、同化反応が優位ならサイズは増えます。
運動を行い十分なタンパク質を摂ると体内ではアミノ酸の働きが活発になり、筋中に多くのアミノ酸が取り込まれます。これが同化反応で筋肥大に繋がります。
しかし飲酒はそのような同化反応を妨害してしまうのです。
③ホルモン分泌への影響
トレーニングに励む人にとってホルモン分泌はとても大切なことです。
特にテストステロン(男性ホルモン)や成長ホルモンなどのアナボリックホルモンの分泌が活発になれば、筋肉にもプラスの影響を及ぼしてくれます。
成長ホルモンはタンパク質の入れ替えを促す働きがあるので、筋中へのタンパク同化や代謝を調整するなどの働きがあります。
しかし飲酒が習慣になるとホルモン分泌という点でもマイナスです。
大きな理由として、アルコールは血中のコルチゾールレベルを高めるということです。
さらには飲酒によって良質な睡眠も妨害されてしまいます。コルチゾールは言うまでもなく筋肉を異化分解してしまうホルモンです。その上、良質な睡眠まで妨げられてしまえば、体内のアナボリック反応も悪影響を受けてしまいます。
例えば睡眠中に分泌が促される成長ホルモンについても、飲酒によって72%も抑制されるという研究結果もあります。
④アルコール摂取の男女差
体内でのアルコール処理能力には男女差があります。
もちろん体質によって例外もありますが、一般的に女性はアルコールの吸収が男性よりも早く、そのため飲んだお酒が体内で分解されて排泄されるまでにより長い時間がかかると言われています。
ただし筋発達については、男性の方がアルコールの影響を受けやすいということは覚えておきましょう!